鯖になりたかったんだね。表参道Gyre、落合陽一さんの個展感想。+青魚と川面の写真
メディアアーティストの落合陽一さんの個展、山紫水明 ∽ 事事無碍 ∽ 計算機自然に行って作品を初めて実物で見てきました!
今までにいくつかの写真はネットの動画で見てきましたが、あの展示空間で直接見ることは全く違う体験につながると思いました。
一人で30〜40くらい中にいたかと思います。
入場無料で子供から大人まで誰でも楽しめると思いますのでぜひみなさん行ってみよう。
展示会場内ではとにかく脳みそを刺激されまくりでした。
下の動画はメディアでもたぶんよく紹介されているLevitrope。是非実物で、展示会場の雰囲気と合わせて見てもらいたいです。
Levitropeの空間には本当に引き込まれました。
この動画ページの落合さん解説文から名前の由来だけ引用します。
この”Levitrope”というメディア装置は、“lev(浮揚)”と “trope(回転)”からなる造語で名付けられた装置だ。
なるほど…。
この作品のコンセプトも詳しくここで解説されているので、是非読んでみて欲しいです。まず動画を見て、解説文を読むと作品の背景と作者の深い思いに触れられます。
でも今回一番推したいのは鯖なんです。
鯖の擬態は個人的にとても興味があったのでそこんとこを紹介。
展示会より写真
鯖の擬態というもの自体は知っていたけど、その擬態を自然の寂びといい、その寂びを計算機に夜超解像としてカンバスに表現する。
う〜んすごすぎてすごいしか言えないです。
これが正しい理解なのかもちょっと自信無いですが…。
でもそう考えていくと生物っていうのは気の遠くなるくらい長い時間の中で錆びてきたわけで、その様々な寂び演算の得意な計算機を使えば色々表現の幅が広がるってことなのかな。
うーん面白い。
解説文もすごく印象に残ったので一部引用します。
波の形, 反射, 海と空の点描
光の波, 水の波, 海の青, 空の青.
日光のレイリー散乱と海の散乱による青.
海中から空を見あげる. その時, 視覚的なあらゆる波は結合する.
鯖. 青魚の保護色は波と波の境界面に見える, 視覚的擬態であり,
海と太陽を自然界が光学的に模倣したものだ.
〜中略〜
人為と水棲生物,
二つの自然のプロセスの中に計算機によって超解像された自然を描き出す.
生物という計算プロセスによって, 波の形を反射する空と海の点描.
「レイリー散乱」とかこれだけ科学用語と芸術表現が一体になったアートの解説文なんてあるんだろうか。
先日見たNewsPicks特別編で落合さんが神田川の川面の写真と鯖の背中の写真を比べて「きみは鯖になりたかったんだね」と言っていた。
まさにそれがここで表現されているのを見ることができて本当によかった。
会期内にもう一回くらい行きたいところです。
さて、せっかくなのでぼくも神田川の川面の写真と青魚を比べて見ました。
まずは青魚です。
残念ながら手持ちに鯖の写真はありませんでした。
代わりにこちらのスマという同じサバ科の魚を使わせてください。鯖はありませんでしたスマん。
(これが言いたかっただけ。ちなみにスマは大変美味な魚ですよ。参考 https://www.zukan-bouz.com/syu/スマ)
背中を拡大
そして神田川
どん。
このスマの写真だと少し背中から腹にかけての明暗差はわかりづらくなってしまいました。川の水面の弱い波とグラデーションはいい感じですね。
きみはスマになりたかったんだね!
というわけで「 落合陽一、山紫水明 ∽ 事事無碍 ∽ 計算機自然」すごくよかったので是非みなさんどうぞ。
ありがとうございました!
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個展の概要は以下の通り。6月28日まで開催されてます!
落合陽一、山紫水明 ∽ 事事無碍 ∽ 計算機自然
会期:2018年4月20日〜6月28日
会場:EYE OF GYRE
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1
電話番号:03-3498-6990
開場時間:11:00〜20:00
https://bijutsutecho.com/news/13512/